結論
21 CFR Part 101 とは、米国連邦規則集(Code of Federal Regulations)第21編 第101部にあたる、FDA所管の食品表示規則です。米国で販売される食品は、輸入品を含めてこの規則に適合しなければなりません。
ラベルに必要な項目は、大きく5つです。
① 品名(Statement of Identity)― 21 CFR 101.3
② 内容量(Net Quantity of Contents)― 21 CFR 101.105
③ 原材料表示(Ingredient List)― 21 CFR 101.4
④ 責任企業の名称と住所― 21 CFR 101.5
⑤ 栄養成分表示(Nutrition Facts)― 21 CFR 101.9
+ 該当する場合のアレルゲン表示(Contains文)
これらのいずれかが欠けている、または規則どおりに書かれていない食品は不当表示(misbranded)とみなされ、米国への輸入が拒否される可能性があります。
1. 21 CFR Part 101 の位置づけ
米国の食品規制は、法律(FD&C法)→ 規則(CFR)→ ガイダンスという階層で構成されています。
| 階層 | 名称 | 性格 |
|---|---|---|
| 法律 | 連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法) | 「不当表示の食品は流通させてはならない」という原則を定める(第403条) |
| 規則 | 21 CFR Part 101 | 具体的な表示方法を定める。法的拘束力あり |
| ガイダンス | Food Labeling Guide 等 | FDAの解釈・推奨。拘束力はないが実務の指針 |
実務では、まず21 CFR Part 101 の条文で要件を確認し、判断に迷う部分をガイダンスで補う、という進め方になります。「FDAのサイトにこう書いてあった」だけでは根拠として弱く、条文まで遡る必要があるのはこのためです。
2. 必須5要素 ― それぞれの要点
① 品名(Statement of Identity)― 21 CFR 101.3
その食品が何であるかを示す名称です。主要表示面(PDP)に、他の表示より目立つ大きさで、通常はパッケージの通常の陳列方向と平行に記載します。
名称は、法令で定められた名称(standard of identity がある食品はその名称)、または一般的な名称を使います。商品名(ブランド名)だけでは品名になりません。「YAMADA'S SPECIAL」だけでは不可で、「Soy Sauce」「Rice Crackers」といった実体を示す語が必要です。
② 内容量(Net Quantity of Contents)― 21 CFR 101.105
PDPの下から30%以内の領域に記載します。米慣用単位(oz / lb / fl oz)とメートル法(g / mL)の両方を併記する必要があります。詳しくは 内容量表示(Net Quantity)の書き方 をご覧ください。
③ 原材料表示(Ingredient List)― 21 CFR 101.4
使用した原材料を重量の多い順に、一般的な名称で列挙します。日本で認められている「調味料(アミノ酸等)」のような一括名表示は原則として使えません。詳しくは FDA成分表記(原材料表示)の書き方 をご覧ください。
④ 責任企業の名称と住所 ― 21 CFR 101.5
製造者・包装者・流通業者のいずれかの名称と住所を記載します。住所はstreet / city / state / ZIP まで必要です。製造者以外を記載する場合は「Distributed by」等の修飾語が必要になります。詳しくは 責任企業表示(Distributed by)の書き方 をご覧ください。
⑤ 栄養成分表示(Nutrition Facts)― 21 CFR 101.9
指定された書式で、サービングサイズあたりの栄養量を表示します。必須項目にはVitamin D / Calcium / Iron / Potassium が含まれます(2016年の改正で従来のビタミンA・Cから変更)。詳しくは Nutrition Facts(栄養成分表示)の作り方 完全ガイド をご覧ください。
+ アレルゲン表示
FALCPA(食物アレルゲン表示・消費者保護法)に基づき、主要アレルゲンを含む場合は原材料表示の直後等に「Contains ...」と記載します。対象は8品目 + ごま(2023年1月施行)の9品目です。詳しくは FDAアレルゲン表示 完全ガイド をご覧ください。
3. PDP と 情報パネル ― どこに何を書くか
米国のラベルでは、「どこに書くか」も規則で決まっています。面の呼び方を理解していないと、必要な項目を書いていても不適合になります。
| 面 | 定義 | 記載する項目 |
|---|---|---|
| PDP(主要表示面) Principal Display Panel | 店頭で消費者に向けて陳列される面 | ①品名 ②内容量(下から30%以内) |
| 情報パネル Information Panel | PDPのすぐ右隣の面(それが使えない場合は次に来る面) | ③原材料表示 ④責任企業表示 ⑤栄養成分表示 アレルゲン表示 |
情報パネルに記載する項目は、間に他の情報を挟まずに続けて配置する必要があります。原材料表示と栄養成分表示の間に広告文やイラストを入れる、といったレイアウトは認められません。
※ 円筒形の容器など、面の区切りが明確でない包装では、PDPの範囲は高さ×円周の40%として算出します。
4. 文字サイズ・言語の要件
- 言語 ― 義務表示事項は英語で記載します。プエルトリコ等の例外を除きます
- 外国語の併記 ― 日本語を併記すること自体は可能ですが、外国語を併記する場合、義務表示事項はすべての言語で記載する必要があります。「英語は一部だけ、残りは日本語」は不可です
- 最小文字サイズ ― 情報パネルの表示は、原則として1/16インチ以上(小型包装には緩和規定があります)
- 視認性 ― 背景と十分なコントラストがあり、容易に読めること。透明フィルム越しに文字が歪む、地色に沈むといった状態は指摘対象になります
日本のパッケージにシールを重ね貼りして対応するケースが多いのですが、シールが元の日本語表示を隠しきれていない、シールの縁が浮いて剥がれる、貼付位置がPDPと情報パネルの関係を壊している――この3つは、実際に指摘される定番です。
5. 日本の食品表示法との違い
「日本のラベルを英訳すれば足りる」という誤解が、最も多い失敗の原因です。
| 項目 | 日本(食品表示法) | 米国(21 CFR Part 101) |
|---|---|---|
| 栄養表示の単位 | 100gまたは1食分あたり | 1サービングあたり(RACCに基づく) |
| 必須栄養項目 | 熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量 | 脂質・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロール・ナトリウム・炭水化物・食物繊維・糖類・添加糖類・たんぱく質・ビタミンD・カルシウム・鉄・カリウムほか |
| アレルゲン | 特定原材料8品目 + 推奨20品目 | 9品目(ごまを含む)。推奨表示の制度なし |
| 原材料の一括名 | 「調味料(アミノ酸等)」等が可 | 原則不可。個別の一般名で記載 |
| 内容量 | g / mL のみ | 米慣用単位とメートル法の併記 |
| 賞味期限 | 義務 | 連邦法上は原則義務ではない(乳児用調製乳等を除く) |
特に「賞味期限は米国では原則義務ではない」という点は驚かれることが多い項目です。ただし、州法や取引先の要求で記載を求められることは一般的です。記載する場合は、その表現方法(Best By / Use By 等)を統一してください。
6. 不適合だった場合に何が起きるか
FD&C法 第403条に基づき、表示規則に適合しない食品は不当表示(misbranded)とされます。輸入品の場合、実務上は次の流れになります。
- 入国港でFDAが審査 ― 書類審査、必要に応じて現物確認
- 問題があれば留置(Detention)の通知
- 反証・是正の機会 ― 期限内にリラベル計画等を提出
- 是正できなければ輸入拒否(Refusal) ― 返送または廃棄
- 繰り返す場合は輸入警告(Import Alert)の対象となり、以後の貨物が自動的に留置され得る
最も避けるべきは⑤です。一度リストに載ると、以後は「問題がないことを自ら証明する」まで通関が止まります。1回の不備が、その後の輸出全体に影響します。
7. 進め方 ― 何から着手するか
- 製品の分類を確認 ― 一般食品か、栄養補助食品(Dietary Supplement)か。適用される規則が変わります
- 必須5要素を洗い出す ― 手元の情報で埋まる項目と、算出が必要な項目を仕分けます
- 栄養値を算出 ― 最も工程が長い部分。ここから着手するのが実務的です
- アレルゲンを判定 ― 日本の8品目をそのまま使わず、米国の9品目で判定し直します
- レイアウトを作成 ― PDPと情報パネルの関係、文字サイズ、内容量の位置を確認
- 最終レビュー ― 規則に照らして通しで確認します
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- FDA成分表記(原材料表示)の書き方 ― 一括名が使えない理由
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- FDAアレルゲン表示 完全ガイド ― FALCPA 9品目
- 責任企業表示(Distributed by)の書き方
- 米国輸出ラベル チェックリスト ― 出荷前に確認する12項目
よくある質問
Q. 21 CFR Part 101 とは何ですか?
米国連邦規則集第21編第101部にあたる、FDA所管の食品表示規則です。品名・内容量・原材料・責任企業表示・栄養成分表示といった必須項目の書き方が定められています。
Q. 必ず記載しなければならない項目は?
①品名 ②内容量 ③原材料表示 ④責任企業の名称と住所 ⑤栄養成分表示 の5つです。該当する場合はアレルゲン表示(Contains文)も必要です。
Q. 日本語を併記したラベルでも販売できますか?
義務表示事項が英語で記載されていれば併記自体は可能です。ただし外国語を併記する場合、義務表示事項はすべての言語で記載する必要があります。
Q. 適合していないとどうなりますか?
不当表示(misbranded)とみなされ、輸入拒否となる可能性があります。繰り返すと輸入警告(Import Alert)の対象となり、以後の貨物が自動的に留置され得ます。
Q. 日本のラベルを英訳すれば足りますか?
足りません。栄養の算出基準、サービングサイズ、アレルゲンの対象品目、一括名表示の可否など、根本のルールが異なります。作り直しが必要です。
出典・一次情報
本記事は以下のFDA公式情報および米国連邦規則に基づいて作成しています。規制内容は改正される場合があるため、実務判断の際は必ず最新の一次情報をご確認ください。
- FDA「Food Labeling & Nutrition」― fda.gov
- FDA「Food Labeling Guide」― fda.gov
- 21 CFR Part 101(食品表示)/101.3(品名)/101.4(原材料)/101.5(責任企業)/101.9(栄養表示)/101.105(内容量)
- 連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)第403条(不当表示)
最終更新: 2026年8月23日
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別案件の法的助言ではありません。規制は改正される場合があります。